エンタープライズサーチとは?RAG・MCPで広がる生成AI活用と選び方

カテゴリ:エンタープライズサーチ

更新日:2026年8月19日

エンタープライズサーチとは、社内のファイルサーバーやクラウドストレージ、ポータルサイト、グループウェア、データベースなど、オンプレ/クラウド問わず点在する、膨大なデジタルデータを一括で横断的に検索できる検索システムです。

近年では、生成AIとの連携により、事前に収集(クローリング)したデータを利用して、対話型のAIチャットや、AIエージェントでの活用にも発展しています。

本記事では、従来型のエンタープライズサーチの解説に加え、AI時代の情報検索基盤としての活用、また製品の選定ポイント、最後に導入事例とその効果について詳しくご紹介します。

エンタープライズサーチとは

エンタープライズサーチとは、社内のファイルサーバーやクラウドストレージ(SharePointやBox、Googleドライブ等)、ポータルサイト(Webサーバー等)、グループウェア(Garoon、desknet’s NEO)、データベース(PostgreSQL、MySQL、OracleDB、NotesDB)など、オンプレ・クラウド問わず点在する膨大なデジタルデータを一括で横断的に検索できる検索システムです。

エンタープライズサーチの概念図

別名、企業内検索システムとも呼ばれますが、企業だけでなく、自治体や省庁、行政法人、教育機関など、様々な組織・団体でも導入されています。(当社製品の導入事例はこちら

また、横断検索の特徴だけでなく、ファイルの中身までを対象とした「全文検索」や、高度な「絞り込み機能」、さらには、目的のファイルかどうかを一目で判断できる「サムネイル表示/プレビュー機能」などを有しており、目的の文書やデータを素早く探し出すことで、情報収集時の時間削減や社内ナレッジの発見といった効果を発揮します。

クラウドストレージに備わる検索機能やCopilot等との違い

SharePointやBox、Googleドライブなど、主要なクラウドストレージにも検索機能が備わっています。しかし、それらの検索はファイルサーバーなど社内で他に管理するデータ保管場所と連携して横断検索することができなかったり、ファイルの中身までを全文で検索できない、ファイルのプレビューができないなど、検索機能として不十分であるため、それらの補完を目的にエンタープライズサーチを導入する企業も少なくありません。

また、近年Microsoft 365 CopilotやBox AI、Geminiなどの生成AIサービスが登場し、これらで目的の情報やファイルを探すケースも増えていますが、やはりファイルサーバーなど社内のオンプレシステムとの連携が不十分であったり、キーワード一致での検索ではないため、検索漏れが発生したり、プロンプトを打つのが煩わしいなどのデメリットがあるため、エンタープライズサーチとの併用や連携(MCP連携)を行う企業も存在します。

エンタープライズサーチ/クラウドストレージ標準検索/生成AIの比較
  エンタープライズサーチ SharePointやBoxなどの標準検索機能 CopilotやBox AIなどの生成AI
横断検索 ×
全文検索
※ファイルの中身全てを検索対象とすること
検索漏れ アクセス権の有る範囲では発生しない 発生する 発生する
検索方法 キーワード一致 キーワード一致 プロンプト入力
あいまい検索(ベクトル検索) ×

企業が抱える情報検索の課題

企業が抱える情報検索の課題は、実は社会が抱える喫緊の課題とも深く関連しています。

総務省の令和5年版情報通信白書によれば、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少しており、2070年には4,535万人(2020年→2070年:-2,974万人)まで落ち込む見込みです。限られた人員で業務をどう効率化するかは、もはや一企業の課題ではなく社会全体の課題となっています。

(出典:総務省「令和5年版 高齢社会白書」)

さらに厚生労働省は2018年、団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)が高齢者となる2040年を見据え、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置しています。この世代の大量退職は、長年蓄積された業務知識や技術ノウハウが一気に失われる「知の断絶」のリスクをはらんでいます。

(出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部設置規程」)

参考:生成AIは社会課題の解決方法をどう回答するか?〜GeminiとNotebookLMを使った壁打ちの例〜

(出典:当社ブレインズテクノロジー株式会社)

過去のトラブル対応や設計変更の経緯といった暗黙知は、ベテラン社員の頭の中や、社内に散在する文書に埋もれがちで、退職と同時に失われるリスクが高い情報です。

エンタープライズサーチなどによって情報検索が効率化されれば、こうしたナレッジを「探せば見つかる」状態にでき、生産年齢人口の減少と団塊ジュニア世代の退職という2つの社会課題に対する、具体的な対策となります。

エンタープライズサーチの仕組み

エンタープライズサーチの仕組みはインターネット検索と似ています。

エンタープライズサーチの仕組み

社内のオンプレミス環境(クラウドの仮想環境でも可)に、専用サーバーを用意します。
そこにエンタープライズサーチ製品をインストールします。

システム起動後、エンタープライズサーチの機能である「クローラー」が検索対象にしたいデータ保管場所(ファイルサーバーやクラウドストレージなど)に対して、必要な情報を自動で巡回します。具体的には、データのファイル名や全文テキスト、ファイルの最終更新者や最終更新日などといったメタデータです。取得したそれらのデータを事前に用意した専用サーバーに蓄積します。これをインデックス生成と呼びます。

また、データ収集時(クローリング時)に、ファイル毎に設定されているアクセス権の情報も収集します。これにより、アクセス権を持たない情報が検索結果に表示されないように制御するだけでなく、アクセス権設定の二重管理を行う必要もありません。

このようなクローラーによるインデックス生成の仕組みは、インターネット検索における「Google」などの検索エンジンと同じ仕組みです。
なお、最初のクローリング処理にかかる時間は、社内で保管するデータ量(対象となる文書数やファイル容量、ファイル形式など)により差はありますが、概ね1〜3週間程度で完了します。

システム運用後は、各データが更新または追加されたファイル(差分データ)のみを処理するため、さほど時間はかかりません。基本的には業務を行わない夜間にクローラーを巡回させることで、翌日には反映されるケースが大半です。

AI時代のエンタープライズサーチ3つの活用

実はエンタープライズサーチの歴史は比較的古く、20年以上前からその技術および製品が存在します。当社の製品もリリースより14年以上が経過しています。

これまでのエンタープライズサーチは、キーワード一致による検索がメインでしたが、近年の生成AIの急速な発展により、従来のキーワード検索だけでなく、対話型の生成AIチャットや、AIエージェントとの連携によって再び注目を集めています。

ここではキーワード検索、AIチャット、AIエージェントの3つの活用について解説します。

1.キーワード検索

エンタープライズサーチが従来よりメインとしている検索方法が「キーワード検索」です。キーワードの部分一致や完全一致によって、欲しい情報が”漏れなく””高速”に探せるのが最大の特徴で、過去のトラブル情報や不具合事例、報告書、マニュアル、規程類、技術文書、研究資料など、長文を対象に社内を網羅的に探さなければならない場面において、特に重宝する検索手法です。

ファイルサーバーの検索や一部のITツールでは、ファイル名のみしか検索対象にできない、ファイルの全文ではなく検索対象に制限がある(参考:Boxの全文検索における1万バイト制限と解決策)、そもそも検索するのに時間がかかる、などの課題があるため、その解決策としてエンタープライズサーチを導入するケースです。

この後紹介する、AIとの連携に対する関心は高いものの、質問文を入力しなくても手間なく検索できる、検索結果でヒットした情報が網羅的に表示される、などの利点も多く、決してキーワード検索が生成AIに対して劣っているということではなく、むしろ業務内容や欲しい情報に応じて使い分けるのが賢い利用方法だと言えます。

2.AIチャット

従来キーワード一致による検索がエンタープライズサーチそのものの特徴でしたが、近年のAIの発展により、エンタープライズサーチが事前に取得したインデックスデータを、RAG(検索拡張生成)技術によって組み合わせることで、社内情報を対象に生成AIとの対話が可能となりました。

これにより、生成AIが社内情報を要約したり、チャット(対話)画面内で、質問による情報の抽出や情報の加工を行うといったことが可能となり、情報収集の効率化をさらに向上させることができます。

なお、当社の製品「Neuron ES」生成AI連携機能は、まず通常のキーワード検索を行います。
その後、検索結果の画面にて表示された上位の情報に対して、「要約を表示」をクリックすることで、ファイルを開くことなく生成AIによって内容を要約したり、「Chat」というボタンをクリックすることで対話画面が開き、そこで検索結果上位の情報を回答源として、生成AIと対話できます。

Neuron ES 生成AI連携機能

Neuron ESと生成AIとを連携することで、情報の要約やAIチャットが行える「生成AI連携機能」

Embedding(ベクトル検索)技術の活用

また、当社製品の「Chat EI」では、社内データや質問文に対して”Embedding処理”を実行することで、言葉の意味を数値化し、その近似値を持って生成AIの回答を行う「ベクトル検索」の手法を取っています。

単純なRAGよりも、さらに回答精度を上げたいという業務やシーンにおいて、このベクトル検索が有効な場合もあります。

また、Embedding処理だけでなく、文書をどこで分割するかといった”チャンキング(またはチャンク)”や、RAGによって返された結果を再度並べ替える”リランク”といった手法を取ることで、回答精度を上げるといったご提案も可能です。

3.AIエージェント

さらに最近では、生成AIの活用方法は単にチャット画面の中だけに留まらなくなってきました。「AIエージェント」という考え方によって、生成AI自身が複数のデータソースやツールを跨いで、自ら考え、それを実行するまでに進化しています。

一見、AIエージェントとエンタープライズサーチはあまり関係がないように思えますが、実は企業のAI活用のデータ基盤として、今まさに注目が集まっています。

というのも、多くのAIエージェントのプラットフォーム(例:Microsoft 365 CopilotやGemini Enterprise、Difyなど)は、それ単体としては、データソースが十分ではないからです。

Copilotであれば、Microsoft 365内の情報が、Gemini Enterpriseであれば、Google Workspace内の情報が、通常AIエージェントが触れることのできるデータソースです。

そこで、次に紹介する「MCPサーバー」によってエンタープライズサーチが取得した社内データと連携することで、データソースの拡充が可能となります。

MCPサーバー

2024年11月にAI開発企業Anthropic社が発表・公開し、その後AIエージェントの共通規格(連携規格)として広がっているのが「MCP(Model Context Protocol)」です。そして、当社のエンタープライズサーチ「Neuron ES」は、このMCP規格に対応しています。(Neuron ES MCP連携

エンタープライズサーチは、検索や対話型AIのために、社内のファイルサーバーやクラウドストレージ、ポータルサイト、グループウェア、データベースなど、オンプレ/クラウド問わず膨大な企業内のデジタルデータを横断的にインデックス生成していると解説しました。(「エンタープライズサーチの仕組み」の章

その収集したインデックスデータ(社内データ)を”MCP”によって各種AIエージェントと連携できるため、例えば、Copilotからオンプレのファイルサーバーやデータベース等の情報にアクセスし、Microsoft 365内の情報も踏まえながら、AIが回答したり、作業を実行するといったことが可能です。

また、ファイルのアクセス権についても、各種データ保管場所の設定情報を継承しているため、アクセス権のない情報がAIの回答源になるといったことも避けられます。

さらに、一般的なクラウドサービスとも異なるため、生成したインデックス情報はオンプレ環境下(または仮想環境での構築も可)に設置したサーバー上に留まるため、社内データの情報漏洩といった心配もありませんし、インデックス生成の仕組みはクローラーによる自動巡回のため、社内データをAIエージェントの基盤構築のためにアップロードし直したり、移動させる必要もありません。

さてこのように、生成AIの発展とともに登場した新技術「RAG」や「MCP」などによって、エンタープライズサーチは、検索時間の短縮のための検索システムだけではなく、対話型AIサービス(AIチャット)や、AIエージェントなど、近い将来企業にとってのAI活用のデータ基盤として注目を集めています。

参考:2026年7月1日開催【セミナーレポート】日本マイクロソフト登壇|Microsoft 365 Copilotと​Neuron ESに​よる新たな​ナレッジ活用基盤

エンタープライズサーチが解決した企業課題(導入事例)

ここでは実際にエンタープライズサーチが企業の課題をどのように解決したか、具体的な事例をご紹介します。

株式会社デンソー:従業員一人あたり10時間/月以上もの情報収集のムダ時間を削減

世界中の企業から信頼される自動車部品メーカーとして様々な製品やシステムを提供する株式会社デンソーでは、ファイルサーバ内の資料やデータから欲しい資料を素早く見つけるために「Neuron ES」を導入しました。

設計書や技術的なレポートの効率的な検索により、社内のナレッジシェアにも貢献。普段の業務で利用するツールとして定着しています。(詳細はこちら

キオクシア株式会社:資料探しにおいて1件あたり30分~2時間の工数削減を実現

フラッシュメモリのリーディングカンパニーとして、新しい価値を生み出す製品・サービスを提供するキオクシア株式会社では、ファイルサーバやMicrosoft SharePoint™に保管された各種ファイルや社内ポータルサイトなどに存在する社内情報の効率的な検索を目的にNeuron ESを導入しました。資料探しにおいて1件あたり30分〜2時間の工数削減を実現しました。(詳細はこちら

旭化成株式会社:研究資料、企画書、社内ナレッジの発見、過去資料の利活用など、生産性の向上に貢献

1922年の創業以後「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」という3つの領域で新たな社会価値を創出し続ける旭化成株式会社では、ファイルサーバ内の膨大なデータから目的の資料を探し出すための検索システムとして「Neuron ES」を導入しました。

物性・化学物質・素材など、各種研究にまつわるキーワード検索によって、研究資料や企画書といった社内ナレッジの発見や過去資料の利活用に役立てている。(詳細はこちら

鹿島石油株式会社:技術仕様書や過去トラなどを素早く発見し対応力強化・技術伝承に貢献

原油精製を行う企業として、LPG、ナフサ、ガソリン、ジェット燃料、灯油、軽油、重油、アスファルトなどの幅広い製品を手がける鹿島石油株式会社では、複数台存在するファイルサーバ内の膨大な資料から素早く欲しい情報を見つけ出すために検索システム「Neuron ES」を導入しました。

特に過去トラ(過去のトラブル報告書)や設備仕様書などのスピーディな発見により、保全業務における対応力の強化や技術伝承として活用しています。(詳細はこちら

シンク・エンジニアリング株式会社:工事写真の黒板の文字まで検索対象に検索

水道に関連する機器やシステムの設計・開発、工事、保守・メンテナンスなどをワンストップで提供しているシンク・エンジニアリング株式会社では、20年以上運用し続けているオンプレミスのファイルサーバから、業務プロジェクトに関するデータを素早く検索するため、エンタープライズサーチ「Neuron ES」を導入しました。

図面や記録資料、申請書類、工事写真などファイルサーバで保管する450万以上のファイルから、過去事例や履歴もスピーディに検索できるため、ナレッジマネジメントにも役立てています。また、工事写真の黒板に書かれた文字をOCR機能で読み取り、検索対象にしています。(詳細はこちら

東急建設株式会社:Dropbox内に保管する工事関係文書の全文検索に「Neuron ES」を導入

東急グループの一員として、基軸事業である土木事業と建築事業を中心に競争力拡大・収益多様化に取り組む東急建設株式会社では、発注者とやりとりした帳票や書面、図面、施工写真などの全文検索・部門横断検索に「Neuron ES」を導入しました。

「Neuron ES」で工事コードをファイルにタグ付け。検索時はタグ(工事コード)で絞り込みをした後にキーワード検索を行うことで工事担当者の業務効率化に貢献しています。

高千穂交易株式会社:ファイルサーバやSharePointに加え、社内DB・外部コマンド連携によりSalesforceなどのクラウドサービスとの横断検索を実現

1952年の創立以来、‟創造”を企業理念に掲げ、世界の先端電子情報機器をいち早く日本市場に紹介してきた高千穂交易株式会社では、ファイルサーバやSharePoint Onlineに加え、「Neuron ES」の社内DB・外部コマンド連携によりSalesforceなどのクラウドサービスとの横断検索を実現しています。(詳細はこちら

神戸市:資料検索の時間削減率86.6%を実現

兵庫県神戸市では、LGWAN(総合行政ネットワーク)環境下のファイルサーバ内に保管された膨大な電子データの検索システムとして「Neuron ES」を導入しました。高速かつ広範囲に資料を検索できるようになったことで、資料検索の時間削減率を86.6%に削減できたほか、過去資料の発見によるナレッジ共有にも繋がっています。(詳細はこちら

ご紹介した上記事例含め、合計90社以上のエンタープライズサーチの導入事例をご紹介しています。ぜひ社内DX推進のヒントとしてご覧ください。(エンタープライズサーチ「Neuron ES」導入事例一覧

製品選定のポイント

さて最後は、実際にエンタープライズサーチ製品の選定ポイントをお伝えします。
検索システムとしての利用、AIチャットとしての利用、AIエージェントとしての利用のそれぞれで押さえたいポイントは異なるため、別々に解説します。

検索システムとして

検索システムとしての選定ポイントとして代表的なものは下記が挙げられます。
機能面の充実さはもちろんのこと、利用者が使いやすいインターフェースかどうかや、管理者向けの設定画面や利用状況の可視化などについても、確認すると良いでしょう。

検索システムとしての選定ポイント
チェック欄 選定ポイント 内容
◻︎ 検索対象リポジトリの豊富さ ファイルサーバーはもちろん、利用するクラウドストレージやクラウドサービス、グループウェア、データベース、ポータルサイトなども、検索対象に含めることができるか。
◻︎ 検索対象のファイル種別の多様さ Microsoft Office文書、PDF、テキストファイル、画像、Docuworks、一太郎、CAD、圧縮ファイルなど
◻︎ クローリング速度 膨大な文書数やファイル容量であっても高速にクローリングできるか(初期クローリングおよび運用後の差分クローリングどちらも重要)
◻︎ 検索速度(検索レスポンス) 実際に検索した際に結果が返ってくるまでの速度。絞り込みの反映などの確認も必要
◻︎ 検索精度 キーワード一致の手法としてどのような技術を採用しているか(N-gramや形態素解析、またはハイブリッドなど)。またそれによって、目的の情報が実際に探せるかどうか。
◻︎ ユーザーインターフェース(UI) 利用者が使いやすいインターフェースデザインになっているか。また、サムネイル表示/プレビュー表示などの機能も備わっているか
◻︎ 絞り込み条件の豊富さ 関連度順や日付順だけでなく、ファイル種別やタグ検索、フォルダ指定など、絞り込み条件は豊富に備わっているか
◻︎ OCR(光学的文字認識)機能の有無 スキャンしたPDFや画像ファイル内の文字をテキストデータ化して検索にヒットさせられるか。またその読み取り精度。
◻︎ LGWAN対応(自治体、官公庁などの場合) 自治体や官公庁などで導入する場合、LGWANと呼ばれる行政専用の閉域ネットワーク内で動作するか。またその実績はあるか。
◻︎ 管理者向け設定画面 各種設定やクローリング状況、またソフトウェアのアップデート等、管理者が迷わずに操作できるか。また機能は備わっているか。
◻︎ 分析・レポート 利用状況や社内での検索需要(実際に検索されているキーワード)などが可視化できるか。またそれらデータの二次利用としてcsv形式などでダウンロードできるか。

AIチャットとして

対話型AIサービス(AIチャット)としての選定ポイントは以下の通りです。

特にこの領域は様々なサービスやツールが登場しており、違いが分かりづらいですが、まずは社内データのアップロードが必要なクラウドサービスなのか、それともアップロードが不要なオンプレ(または仮想環境)構築可能なシステムなのかで、自社のセキュリティ要件に合うかどうかが分かれるため、事前にシステム部門の方にもヒアリングした上で製品選定を行うと良いでしょう。

AIチャットとしての選定ポイント
チェック欄 選定ポイント 内容
◻︎ 構築環境とデータアップロードの有無 前提として自社のセキュリティ要件に合致するか確認が必要です。クラウドサービスの場合は基本的にデータアップロードが前提のため、膨大な社内データをそもそもAIの回答源にしづらいという性質があります。
◻︎ 社内で利用可能な生成AIサービスと連携できるかどうか 多くの企業ではシャドーAIのリスクを極力減らすため、利用できる生成AIサービス(ChatGPT、Claude、Gemini、Copilot等)を情報システム部門またはDX推進部門などの管轄で一元管理しています。社内で利用可能な生成AIサービスと連携できるかどうか、また連携にあたっての社内規程等の確認が必要です。
◻︎ プロンプト内容の学習 生成AIチャットへの質問(プロンプト)内容や添付ファイル等が利用するサービスに学習されないかどうか、利用規約の確認が必要です。
◻︎ 回答精度 生成AIの回答にハルシネーションはつきものですが、業務においてはいかにそれを減らせるかが鍵となります。また、Embedding処理の有無や、チャンク設定・Top-kの変更可否、リランク処理など、回答精度を上げるための機能が備わっているか、また自身でパラメータを調整できるかどうか。
※必ずしも紹介した機能があることで回答精度が上がるとは限りません。場合によってはEmbeddinも行わないシンプルなRAGの利用やキーワード検索を利用する方が回答精度が高いケースもあります。
◻︎ 回答根拠の明示 生成AIの回答内にその根拠となったファイルの所在(ファイルパスやファイル名など)が示されるかどうか。
◻︎ 解析対象 AIの回答源となるデータはファイル名や中身のテキストだけか、あるいは図形やグラフ、音声、動画といったテキスト以外のマルチモーダルな情報もAIの解析対象にすることができるかどうか。また動画のようなデータ容量のあるファイルの場合、どのぐらいの容量までを解析することができるか。

AIエージェントとして

現在AIエージェントに対応するエンタープライズサーチ製品は数える程度にしか存在しませんが、そのうえでいくつか選定ポイントをお伝えします。

AIエージェントとしての選定ポイント
チェック欄 選定ポイント 内容
◻︎ 対応するAIエージェントの共通規格 MCPが現在主流ですが、そのほかにA2AやACPといった規格も存在します。エンタープライズサーチと連携したいツール類がどの規格に対応しているか。
◻︎ サーバー設置場所 MCP等のサーバーを設置する場所はどこか。オンプレミス環境下に設置できるか。
◻︎ 解析データの種類と保管場所 AIエージェントに連携するために事前に生成したインデックスデータや、Embedding処理などを行うのであれば、ベクトル化されたデータをどこに保管するか。また、図形やグラフ、音声、動画といったテキスト以外のマルチモーダルな情報もAIの解析対象にすることができるかどうか。

従来のキーワード検索での比較であれば、実際の使いやすさや機能面での比較が主なポイントですが、AIチャットやAIエージェントでの検討となると、機能面だけでなく、自社で利用する生成AIサービスの制約や、情報セキュリティの観点、またシステムを構築する環境など、インフラ面での確認が重要となってきます。

そのため、会社全体やグループ全体でそうしたAIインフラを管理している部門や担当者が誰なのかといった確認と支援の要請が必要となります。逆にそうした管理を実際にされている方であれば、現場のニーズのヒアリングやAI活用による企業価値向上という視座を持ちながら、一方でAI利用の様々なリスクを考慮しながら推進できるバランス感覚が必要となります。

このようにお伝えすると、敷居や難易度が高く思えてしまうかもしれませんが、当社は企業のAI活用を推進するためのインフラやAI技術面の知識はもちろん、製造業、建設、自治体を中心に各業界の業務理解を強みとしております。AI活用、推進にお困りの担当者さまがいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。(お問い合わせはこちら

エンタープライズサーチに関するよくある質問(FAQ)

エンタープライズサーチとは何ですか?

エンタープライズサーチとは、社内のファイルサーバーやクラウドストレージ(SharePoint、Box、Googleドライブ等)、ポータルサイト、グループウェア(Garoon、desknet’s NEO等)、データベース(PostgreSQL、MySQL、OracleDB、NotesDB等)など、オンプレミス/クラウドを問わず点在する膨大なデジタルデータを、一括で横断的に検索できる検索システムです。企業内検索システムとも呼ばれ、企業だけでなく自治体・省庁・行政法人・教育機関などでも導入されています。ファイル名だけでなくファイルの中身まで対象とする「全文検索」、高度な「絞り込み機能」、「サムネイル表示/プレビュー機能」などを備えており、情報収集時間の削減と社内ナレッジの発見に効果を発揮します。

SharePointやBox、Googleドライブに標準搭載されている検索機能と何が違うのですか?

主要なクラウドストレージの標準検索は、そのサービス内のデータしか対象にできないため、ファイルサーバーなど社内の他のデータ保管場所を含めた横断検索ができません。またファイルの中身を全文で検索できない、プレビューができないといった制約もあります。エンタープライズサーチは、オンプレミスとクラウドの双方を横断して全文検索できるため、こうした標準検索の不足を補完する目的で導入されるケースが多くあります。なお、Boxの全文検索には1万バイトの制限があるなど、サービスごとに固有の制約が存在します。

Microsoft 365 CopilotやGeminiなどの生成AIがあれば、エンタープライズサーチは不要ですか?

不要にはなりません。CopilotはMicrosoft 365内、Gemini EnterpriseはGoogle Workspace内が主なデータソースであり、ファイルサーバーなど社内のオンプレミスシステムとの連携が不十分です。また、キーワード一致による検索ではないため検索漏れが発生しやすく、都度プロンプトを入力する手間もあります。一方でエンタープライズサーチのキーワード検索は、アクセス権のある範囲では検索漏れが発生せず、質問文を書かずに網羅的な結果を得られます。そのため両者は競合ではなく、業務内容や欲しい情報に応じて使い分ける、あるいはMCP連携によって組み合わせて使うのが有効です。

導入してから検索できるようになるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

最初のクローリング処理は、社内で保管するデータ量(対象文書数、ファイル容量、ファイル形式など)によって差はありますが、概ね1〜3週間程度で完了します。運用開始後は、更新または追加されたファイル(差分データ)のみを処理するため時間はかかりません。業務を行わない夜間にクローラーを巡回させることで、翌日には反映されるケースが大半です。

アクセス権のない社内情報が、検索結果やAIの回答に表示されてしまうことはありませんか?

ありません。クローリング時にファイルごとに設定されたアクセス権の情報も収集しているため、アクセス権を持たない情報は検索結果に表示されないよう制御されます。各データ保管場所の権限設定を継承する仕組みのため、アクセス権設定を二重管理する必要もありません。AIチャットやAIエージェントとの連携時も同様に権限が継承されるため、アクセス権のない情報がAIの回答源になることを避けられます。

エンタープライズサーチはAIエージェントやMCPとどのように連携するのですか?

MCP(Model Context Protocol)は、2024年11月にAnthropic社が公開したAIエージェントの共通規格(連携規格)で、当社のエンタープライズサーチ「Neuron ES」はこのMCPに対応しています。エンタープライズサーチが横断的に生成したインデックスデータをMCP経由で各種AIエージェントに提供できるため、たとえばCopilotからオンプレミスのファイルサーバーやデータベースの情報にアクセスし、Microsoft 365内の情報も踏まえてAIが回答・実行することが可能になります。インデックスはオンプレミス(または仮想環境)のサーバー上に留まるため情報漏洩の心配がなく、AI基盤構築のために社内データをアップロードし直したり移動させる必要もありません。なお、MCP以外にA2AやACPといった規格も存在します。

導入によって、実際にどのような効果が出ていますか?

当社エンタープライズサーチ「Neuron ES」では、90社以上の導入事例を公開しています。代表的な効果として、株式会社デンソーでは従業員一人あたり月10時間以上の情報収集のムダ時間を削減、キオクシア株式会社では資料探しにおいて1件あたり30分〜2時間の工数削減、神戸市ではLGWAN環境下で資料検索の時間削減率86.6%を実現しています。そのほか、鹿島石油株式会社の過去トラ(過去のトラブル報告書)活用による技術伝承、シンク・エンジニアリング株式会社の工事写真の黒板文字をOCRで検索対象化するなど、業種特有の課題解決にも活用されています。(導入事例一覧はこちら

まとめ

改めて本記事では、従来型のエンタープライズサーチの解説に加え、AI時代の情報検索基盤としての活用、また製品の選定ポイント、最後に導入事例とその効果についてご紹介しました。

エンタープライズサーチは従来、キーワード一致による高速/全文検索とそれによる検索時間の削減が主な導入効果でした。AI時代においてもその利点は変わりませんが、現在では対話型AIサービス(AIチャット)やAIエージェントとの連携など、独自のクローリング技術によって各種AIサービスが対象にすることができない、ファイルサーバーやグループウェア、ポータルサイトなど横断的な拡充の方法としても注目されています。

いずれの活用方法にしても、企業にとっての検索課題は記事中で述べた通り、今の日本社会が抱える喫緊の課題とも深く関連し、それを解決する具体的なご提案だと思っております。
もし本記事にご共感いただき、また組織として強く課題を感じているようであれば、一度お話の機会を頂戴できますと幸いです。(お問い合わせはこちら

各種資料もご用意しておりますので、ぜひ下記よりダウンロードをお願いいたします。

著者

Neuronマーケティングチーム
Neuronマーケティングチームは、ブレインズテクノロジー株式会社が提供するエンタープライズサーチ「Neuron ES」の情報を発信しています。AI検索、ベクトル検索、RAG、生成AI、AIエージェント、ナレッジマネジメントなど、企業のDXや業務効率化に関する最新トレンドや活用方法を、製品開発・導入支援の知見を交えながらわかりやすく解説します。

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