生成AIと検索の違いとは?主要ポイントや生成AIの活用事例を紹介

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生成AIと検索の違いとは?主要ポイントや生成AIの活用事例を紹介

OpenAI社がChatGPTを公開して以降、生成AIは急速に発展し多くのサービスが登場し、その利用者も急増しています。

様々な活用方法が考えられる生成AIですが、業務中に必要なデータへアクセスする、参考情報を調べる、といったケースでも活用されています。
必要な情報に関連するキーワードを入力して検索する「キーワード検索」もまだまだ主流と言えますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、生成AIの中でも、文章作成・要約の分野における、生成AIとキーワード検索の違い、それらによりビジネスにどのような変化が生じるのか、また企業における生成AIの活用事例も紹介しつつ解説します。

生成AIとキーワード検索の違いとは

生成AIとキーワード検索の違いとは

ChatGPTやClaudeなどの生成AI技術の登場により、情報へのアクセス手段は従来のキーワード検索だけではなくAIへ質問する方法も広がりを見せています。
ここでは、生成AIとキーワード検索にはどのような違いがあるのかを解説します。

生成AIとは

入力データに応じて、都度コンテンツを生成することができる人工知能の一種です。
様々な生成AIが登場しており、下記のものが代表的です。

  • 自然言語AI
    自然な会話や文章を認識し、同様に文章を生成します。
  • 画像生成AI
    写実的な画像やアニメ調の画像を生成します。
  • 音楽生成AI
    コード進行やメロディを生成します。
  • プログラム生成AI
    自然言語(人間の言葉)からプログラムを生成します。
    既存のプログラムを学習し、作成中のプログラムにコードを提案することも可能です。

キーワード検索とは

知りたい情報や探したいファイルに関連するキーワードを入力し、そのキーワードにマッチする検索結果を表示する仕組みです。

Web検索やファイルサーバ内のファイル検索、ファイル内のキーワード検索など様々なシーンで行われています。

生成AIとキーワード検索の違い

では具体的に生成AIとキーワード検索にはどのような違いがあるのでしょうか。

【得られる情報】

  • 生成AI
    質問されるたび、動的に回答を生成して出力します。
    質問の文脈や関連情報をAIの学習データから探し出すため、柔軟な情報を得ることができます。
    質問に直接記載していない情報も、関連情報として提供されるケースも多いです。
  • キーワード検索
    入力したキーワードを基準として、ファイル名やファイル内容にキーワードが含まれるものを検索結果として表示します。
    基本的にはキーワードにマッチするものだけを表示しますが、ディレクトリ構造の工夫やタグの付与、メタ情報の設定等で表示することで関連情報を表示する仕組みも存在します。

【信頼性】

  • 生成AI
    誤った情報(ハルシネーション)が出力されるケースもあり、情報の真偽は利用者側で確認する必要があります。
  • キーワード検索
    情報の作成者、発信者がわかりやすく、どの程度の信頼性がある情報なのかがわかりやすいと言えます。

【特長】

  • 生成AI
    知りたい情報自体が曖昧で広範にわたるケースや、背景が文脈が複雑なケースでも自然言語で質問し、回答を得ることができます。
  • キーワード検索
    目的の情報に関連するキーワードを追加していくことで、目的に沿った情報を絞り込むことができ、素早く正確に情報へアクセスしやすいです。

【デメリット】

  • 生成AI
    回答の精度にばらつきがあり、正しそうに見える情報でも誤り(ハルシネーション)が混ざっているケースがあります。
  • キーワード検索
    情報へアクセスするためのキーワードを打ち込む必要があるため、キーワードが思いつかない場合や関連する知識を持っていない状態では適切な情報へアクセスし辛いケースがあります。

現状は一長一短

生成AIの進化は目覚ましく、実際のビジネスでも活用できるほどの能力がすでにあります。

しかし、生成AIは情報を人間が理解するような意味としては理解していません。
生成される情報の根拠が乏しい、考慮しなければならない事項が含まれない、不要な情報が混在する、といったことも生じます。

それに対して、キーワード検索は人間の入力がダイレクトに結果に反映されます。適切なキーワードと信頼できる検索システムにより、情報へのアクセス性と信頼性が非常に高い方式です。

現在において、生成AIとキーワード検索は一長一短と言えるでしょう。

生成AIにより情報検索はどう変わるのか

生成AIにより情報検索はどう変わるのか

動的にコンテンツを生成できるAIにより、情報検索の形は大きな転換期を迎えていると考えられます。
どのような変化があるのでしょうか。

質問形式の入力

ファイル名やファイル内に含まれるキーワードではなく、自然な質問を行うようになります。

  • キーワード検索
    「○○工事 設計書」のように目的の情報に関連するキーワードを入力する
  • 生成AI
    「○○の工事をしたときの設計書」のように自然言語で質問をする

検索結果の一覧表示から関心事に沿った解説へ

  • キーワード検索
    キーワードにマッチしたデータを検索システムが抽出・表示します。
  • 生成AI
    質問のコンテキストを読み取り、ユーザが求めている可能性が高い情報を動的に回答します。内容の要約やリストアップなども可能です。

単一の情報源から複数情報源の結合へ

  • キーワード検索
    単一の情報源をひとつずつ人間が読み取ります。
  • 生成AI
    複数の情報ソースを生成AIが結合し、一つの回答として文章が生成されます。

生成AIは人間の負担を軽減し、能動的に情報を提供してくれます。
情報へのアクセスが簡単になる面もありますが、情報の正確さは人間がチェックしなければなりません。

生成AIの課題

生成AIの課題

生成AIは、利便性や生産性を大きく向上させる可能性を持ちながら現在でも飛躍的な進歩を遂げています。
しかし、生成AIを用いた犯罪行為も発生しており、技術の発展と法規制のバランスが注目されます。

詐欺広告やフェイクニュース

実在の著名人や大きな影響力をもつ人物の動作や声をAIで再現し、あたかも本人がそのような情報を発信していると思わせる手口の詐欺が問題視されています。
通常であれば金銭の支払いや情報の入力に慎重になる方でも、信用できる人物の発言であると誤認することで騙されてしまうケースがあるようです。

詐欺広告やフェイクニュース自体の問題はもちろんですが、それを掲載するプラットフォームの責任にも言及されるケースがあります。
参考:NHK 生成AIでニュース番組に似せた偽広告 日本テレビ“注意を”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231101/k10014243501000.html

コンピュータウイルスの作成

2024年5月、生成AIを悪用してコンピュータウイルスを作成したと見られる事件が発覚しました。
容疑者はプログラムやコンピュータに精通した人物ではなく、生成AIへ指示を与えることでウイルスを作成したようです。

リテラシーやモラル、リスク認識が伴わない状態でウイルスを作成できてしまうことは社会的にも看過できないでしょう。
また、AI側が悪用されてしまう情報を提供してしまったことも課題と言えます。

参考:東京新聞 生成AI使いコンピュータウイルス作成疑い 警視庁が男を再逮捕

生成AIの規制法

EUではAIを規制する法案が承認・成立されており、2026年に規制が適用される見通しです。
現在、AIを活用したサービスが数多く登場しており、エンタープライズ向けのサービスを除けば無料または数千円程度で利用可能なものがほとんどです。

これにより生産性の向上や効率化、人間の負担削減などのメリットが期待されますが、前述したように社会にとって有害なケースもあります。
そこで、EUではAIをリスクに応じて分類し、その分類によって利用に制限をかける方針です。
AIは今後さらなる進化をしていくと考えられますが、それを自由に使えるのかは不透明とも言えます。

参考:NHK  EU AI法案が加盟国に承認され成立 規制は2026年に適用の見通し
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240521/k10014456551000.html

AIの高性能、高機能化によりポジティブな効果を期待できますが、同時にリスクも生じています。

生成AIの活用事例

生成AIの活用事例

各企業がどのように生成AIを用いているのか紹介します。

社内データを情報基盤とした生成AI

企業内でのナレッジやノウハウ、過去資料などを検索する際に、以下のような経験をした方は多いでしょう。

  • 必要な情報が散乱しており、どこにあるのかわからない
  • 検索キーワードを含むが意図とは無関係の情報が大量に抽出される
  • 情報検索に時間を取られて仕事が進まない

しかし、一般に公開されている生成AIサービスでは企業の内部情報を質問することはできず、また情報をアップロードすることもセキュリティ上の懸念があります。

そこで、膨大な社内データを情報基盤とした生成AIチャットツールも提供されています。
これにより業務にマッチした会話が可能となり、業務効率の向上と情報管理の最適化が期待されます。また下記製品であれば、既存のデータストレージへ自動的に情報を収集しにいくので、生成AIを活用するためにサービス側へのデータアップロードが不要となります。

参考:ブレインズテクノロジー、社内データを情報基盤とした生成AIナレッジチャット「Chat EI」を提供開始

商品デザインの作成

伊藤園は、生成AIにより多くのデザインを短時間で出力し、人間のデザイナーが加工して完成させるというプロセスで商品デザインを作成しました。
デザイナーの負担が軽減されるだけではなく、AIが生成した多くのパターンを参考にすることでパッケージデザインの幅の広がりも期待できる事例と言えるでしょう。

参考: 生成AIパッケージ「お~いお茶 カテキン緑茶」シリーズを、9月4日(月)より販売開始。
https://www.itoen.co.jp/news/article/55683/

社内向けの生成AI

株式会社ベネッセホールディングスでは、約1.5万人の従業員へ向けてイントラネット上で動作する生成AIを公開しました。

ビジネスでAIを活用する際、生成AIが動作するサーバへ内部情報が送信され、セキュリティリスクをどのように考えるか、という懸念があります。
同社ではクローズド環境で動作するAIを構築することでこの課題を克服し、業務効率化への活用や、商品開発に向けた技術活用の検証などを可能にしました。

参考: 社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ社員1.5万人に向けに提供開始
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/management/2023/04/14_5969.html

コールセンターの最適化

損害保険ジャパン株式会社ではコールセンターの電話回線が混み合っている場合に応対する対話型AIが活用されています。
保険金の請求などに必要な顧客の情報を生成AIが聞き取り、システムへ自動登録される仕組みです。

従来、コールセンターはタイミングにより混み合ってしまいユーザが長時間待たされてしまうケースや、オペレーターの負担が大きくなりすぎる課題がありました。
生成AIによりオペレーター業務の一部を代替することで、ユーザのストレスやオペレーター負担の軽減につながっています。

参考: 損保ジャパン、コールセンターに NTT Com の対話型 AI を導入
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20230126_1.pdf?la=ja-JP

すでに多くの企業が実際の業務に生成AIを取り入れています。

生成AIはキーワード検索の代替ではなく、別の手段とも捉えられる

生成AIはキーワード検索の代替ではなく、別の手段とも捉えられる

従来のキーワード検索では情報ソースがわかりやすく、どの程度信頼できる情報であるのかを自然に判断することができました。
生成AIはまだ発展途上であり、出力される情報の信頼性は人間が担保することが重要です。

また、生成AIはコンテンツや成果物を短時間で大量に作成することができます。
これらのデータは適切に保存し、必要なときにアクセスできる環境を整えることで効果的な活用に繋がります。

弊社が開発・提供する「Neuron ES」は、クラウドストレージやファイルサーバに散らばったデータを一括で横断検索し、スピーディなデータアクセスを実現できる社内検索ツールです。

さらに生成AI活用と組み合わせることで、情報収集における大きな効果を期待できます。情報検索にかかる時間を削減し、価値の高い業務へリソースを集中させることで生産性の向上にも繋がるでしょう。
ぜひご検討ください。

https://info.brains-tech.co.jp/doc/neuron_knowledge

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