自治体の業務効率化を進める方法は?背景や成功事例を紹介

カテゴリ:ユースケース

自治体の業務効率化を進める方法は?背景や成功事例を紹介

人材不足やアナログ文化からの脱却などの課題に直面している自治体は多くあります。特に人材不足を解決するためには、業務効率化に取り組むことが急務です。業務効率化することで結果的に、住民のためのサービス向上が期待できます。

そこで本記事では、

  • 自治体が業務効率化するメリット
  • 自治体が業務効率化する具体的な方法
  • 業務効率化に成功した事例

について解説します。ぜひ自治体職員の業務効率化を進める際にお役立てください。

自治体が業務効率化を迫られている理由

自治体が業務効率化を迫られている理由

自治体職員が業務効率化を実施すべき背景について、2つ紹介します。

労働力が不足しているため

あらゆる場面で少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少が問題視されていますが、自治体職員においても同様に労働力が不足しています。

総務省は、令和5年4月の地方公務員数の状況を「平成6年をピークとして平成28年まで一貫して減少し、その後、横ばいから微増傾向。対前年比では、2,068人の減少。」であると発表しました。このデータから、多くの自治体が労働力不足に陥っていることが考えられます。

だからといって、自治体にとって住民サービスの質を落とすわけにはいきません。そのためにも働く職員の業務効率を向上させる必要があるのです。

住民が求めるサービス品質の向上のため

住民が求めるサービスの提供は自治体にとって欠かせませんが、最近では以下のような要素が重なり、職員の業務が圧迫されつつあり、以前のような住民サービスが保てないといった課題も存在します。

  • 住民側の働き方の多様化
  • 各種行政手続きに関する対応範囲の増加
  • 住民の高齢化による個別サポートの増加
  • 在留外国人の増加による多言語での対応

「各種行政手続きに関する対応範囲の増加」における具体的な例には、マイナンバーカードや新型コロナウイルス感染症、待機児童への対応などといった施策の手続きや問い合わせが増加していることが挙げられます。

また、民間企業では当たり前となってきた、各種申請のDX化を自治体にも求める声も高まっています。

こうしたさまざまな住民の声を反映しながら行政サービスの質をより高めるためには、自治体職員の業務効率化が今後必須となってくるのです。また人口減少による過疎化が課題となる自治体では、将来的に職員の人数も減らさざるを得ないという自治体も増えてくるでしょう。

自治体の業務効率化によるメリット

自治体の業務効率化によるメリット

さて改めて、自治体職員の業務効率化によるメリットをご紹介します。

情報共有がスムーズになる

業務プロセスに、ムダな作業や必要のない担当者への確認などが含まれている場合、情報共有にも時間がかかります。こうしたムダな業務を見直すことで、職員へのスムーズな情報共有につながります。

また、ICT(Information and Communication Technology)ツールなどを導入すれば、ツール上で情報を一元管理が可能です。「ほしいと思ったときに、ほしい情報を入手」できるため、さらなる業務効率化にもつながります。

職員の負担低減

地域住民の満足度が向上するのはもちろん、職員の負担低減も期待できます。

職員は、窓口対応から実際の手続き・申請、あるいは各自治体施策の企画・実行など、幅広い業務を請け負っています。効率化によって業務量自体を削減できれば、職員の離職率低下や新たな職員の応募にもつながるでしょう。

自治体が業務効率化を推進する方法

自治体が業務効率化を推進する方法

では実際にどのように自治体職員の業務効率化を実現すれば良いのでしょうか。いくつか具体的な方法をご紹介します。

業務全体のムダを見直す

まず確認したいのが「業務全体にムダがないかどうか」です。業務プロセスを書き出し、それぞれのプロセスにムダがないかどうかを、管理層と担当の職員で洗い出しましょう。

業務全体のプロセスを業務フローのようなイメージで紙になどに書き出すことで、「どのプロセスの」「どの業務がムダか」が発見しやすくなります。

例えば、自治体内部の稟議申請に関わる業務を効率化したい場合、「申請のために紙の書類を印刷し、上長のデスクにいき、押印してもらう」ことがムダだと把握できれば、ペーパーレス化できるシステムやツールの導入が必要であると明らかになるでしょう。

現場と管理層で共通の認識を持つ

窓口業務や電話対応、各申請の手続きなどといった事務的な作業を行う現場と、各職員の管理(マネジメント)を行う管理層では、見えている課題や温度感の相違がしばしばあります。

しかし、業務効率化を推進する際には、管理層のサポート体制と現場の協力体制が欠かせません。管理層のサポートがなければ、システム・ツールの導入、規則の変更、予算承認などが得られませんし、現場が業務効率化のための施策を実際に導入・運用しなければ、業務効率化は実現できないため、共通の認識をもつことが重要です。

現場と管理層が「業務効率化を実現する」という共通認識を持てるよう、双方がビジョンや感じている課題を共有し、理解し合うことで、自治体の業務効率化はスムーズに進みやすくなるでしょう。

IT化(DX化)を進める

自治体職員の業務を効率化するためには、IT化による業務改善も重要です。

  • 庁内の過去資料やデータに素早く辿り着けるようにする(例:検索システムの導入)
  • 紙ベースの資料をデジタル化する(例:OCR)
  • 紙ベースで行なっていた申請をデジタル化する(RPA、オンライン申請)

などが代表的な例です。次章では、各自治体におけるIT化(DX化)の成功事例をご紹介します。

自治体職員の業務効率化にまつわるDX化成功例

自治体職員の業務効率化にまつわるDX化成功例

実際にいくつか自治体における職員の業務効率化に関するDX化の成功例をご紹介いたします。

膨大な電子データを「活きた資産」に変換(神戸市健康局食品衛生課)

神戸市の健康局食品衛生課では、市内の飲食店営業に関する許認可事務のために、膨大な電子データから必要の情報を検索することが日常業務の一つでした。

しかし「ベテラン職員に直接聞きに行った方が早い」というほど、情報収集の範囲が拡大化していたために、横断検索が可能な検索エンジンである「Neuron ES」の運用を開始。その結果、以下の業務効率化を実現しました。

  • 1日当たり最大約400件の検索実績において、資料検索の時間削減率86.6%を実現。
  • 全文検索によって新しいナレッジも得られるため、経験の浅い職員も効率的な仕事ができるようになった。

神戸市の健康局食品衛生課の事例は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:LGWAN環境下のファイルサーバ内に保管された膨大な資料の検索システムとして「Neuron ES」を導入 資料検索の時間削減率86.6%を実現

電子署名作業をRPA化(鳥取県)

鳥取県では、押印作業の業務効率化のために、クラウド上で契約を締結できる電子契約を導入。しかし、従来の押印に代わって発生した「電子署名作業」が担当者の新たな負担になっていました。

そこで、電子署名作業を自動化に向けてRPA化を推進するとともに、押印に関する文書管理規程も改訂。その結果、以下の業務効率化につながりました。

※RPA(Robotic Process Automation:ソフトウェアロボット)とは:人間がPCで行う事務的な(定常的な)業務を自動化すること

  • 300件超の電子署名(令和5年10〜12月)の自動処理を実現。
  • システム改修ではなくRPA化を実現したことで、経費を削減。
  • 現行ルールを見直し、ロボットの活用範囲を拡大したことで、全庁の事務負担を軽減。

引用:「第16回全国都市改善改革実践事例発表会 in とよおか」

放課後児童クラブ入所申請をオンライン化(福島県郡山市)

福島県郡山市では、放課後児童クラブの入所申請オンライン化に成功しました。
従来の申請の流れは、「1.窓口かホームページで申請書類を入手する→2勤務証明書の証明→3.申請書類の提出」でした。紙ベースで合ったため、必ず窓口に提出する必要がありました。

しかし、郡山市オンライン申請サービスを活用。ペーパレス化やカウンターレスを実現したことで、以下の業務効率化を実現しました。

  • タイパが198時間/年、コスパも790千円/年を削減。
  • 住民が、スマートフォンからいつでも・どこでも入所申請できる体制の実現。
  • 送達にかかるタイムラグが解消したことで、即日の審査が可能に。

引用:「第16回全国都市改善改革実践事例発表会 in とよおか」

自治体の業務効率化にはツール・システムが必須

自治体の業務効率化にはツール・システムが必須

今回は自治体職員の業務効率化が必要な理由や具体的な推進方法をご紹介しました。

各自治体がデジタル化・DX化を伴う業務効率化に取り組んでいます。業務効率化を推進するには、まず組織のムダを洗い出すことが大切です。そのうえで、課題に適したツール・システムを導入を検討してみてはいかがでしょうか。

庁内検索システム「Neuron ES」を提供するブレインズテクノロジー株式会社では、全国200自治体を対象に「文書データ保管状況 2022」という自治体内のデータ活用に関するアンケートを実施しています。ぜひ当調査資料を参考に、今後のDX推進・データ活用のヒントとしてお役立てください。

https://info.brains-tech.co.jp/doc/jichitai_survey_2022

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