AIを活用した予知保全の具体的事例&導入〜実運用までの流れ

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AIを活用した予知保全・予兆保全の具体的事例&導入〜実運用までの流れ

近年、AI(人工知能)活用への期待は高く発展し、業種・業界を問わず多くのシーンで活用が進んでいます。

製造業では、工場の設備の不具合・故障を事前に予知する、いわゆる「予知保全」へのAI活用が注目されています。

そこで今回は、

  • AIを利用した予知保全とは何か
  • AIを活用した予知保全の具体的事例
  • 予知保全のためのAI製品導入の方法/流れ
  • 予知保全を目的としたAI製品導入の際に気をつけたいポイント

をご紹介いたします。

本記事で紹介する事例により、AIを活用した予知保全のイメージがより具体化されれば幸いです。

Impulse
AIを活用した予知保全に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

Impulse 公式サイトはこちら

AI(人工知能)を利用した予知保全/予兆保全とは

AI(人工知能)を利用した予知保全/予兆保全とは

改めて、AI(人工知能)を利用した予知保全とは何かをおさらいしておきます。

予知保全とは、機械や設備の状態を連続的に計測・監視することで、それらの劣化や異常を事前に予知し、実際に故障や不具合が発生する前にメンテナンスを行うことを指します。

※似たような言葉で「予防保全」がありますが、予防保全は機械や設備に使用する部品ごとに予め耐用年数・耐用時間を決めておき、その期間が経過したら故障の有無にかかわらず部品を交換する保全方法のこと。つまり、先ほど紹介した劣化や異常を事前に予知する「予知保全」とは意味が異なります。

AI(人工知能)が今日のレベルにまで発展する以前、予知保全の大部分は保全部門の人の感覚や経験に頼っていました。
大規模な設備では、収集されるデータの数は何千〜何万という膨大な種類になります。これらのデータを活用して相関関係や異常値を見つけることが難しかったのです。

しかし、近年のAI技術の進化により、これまで活用できなかった膨大なデータの分析をコンピュータによって自動化し、故障や異常が起きる前段階で予知をすることが可能になってきました。例えば、異常の予兆を数日前から数週間前に検知できれば、事前に計画停止を行って保守作業を行うことができます。

AI(人工知能)を活用した予知保全の事例

AI(人工知能)を活用した予知保全の事例

では実際に、どのような場面でAI(人工知能)を活用した予知保全が活用されているのでしょうか。

ここでは、ブレインズテクノロジー株式会社が提供する異常検知ソリューション「Impulse」を導入する企業の予知保全におけるAI活用事例をご紹介いたします。


大阪ガス株式会社様
ヤンマー株式会社 中央研究所様

大阪ガス株式会社様:人間では捌ききれない膨大なデータ量をAIで解決

大阪ガス株式会社では、従来より設備機器に取り付けられたセンサーデータを分析し、予知保全を実現させる取り組みを進めていたところ、蓄積されたデータは人間では捌ききれないほどのデータ量にまで増大しました。

予知ロジックの開発・システム構築・現場導入・業務改革やビジネス展開をスピーディに実行するためにより効率的なデータ分析基盤が必要となりました。そこで、大規模IoTデータの分析に対しても実績を持つ、ブレインズテクノロジー株式会社の
Impulse」を導入しました。

実際に稼働する設備のセンサーデータを使った実現性検証として約2ヶ月間のPoC期間を設け、誤検知を抑えつつも最長で1週間前に予兆を検知することに成功。分析作業時間の短縮に繋がっています。

> 大阪ガス様の導入事例詳細はこちら

ヤンマー株式会社 中央研究所様:内燃機関の予知保全に向けてクラウド基盤を構築

ヤンマーグループの研究開発のコアセンターとして2020年に開所したヤンマー株式会社 中央研究所は、これまで内燃機関や農業機械の予知保全のための技術開発に取り組んできました。

予知保全の実用化に際しては、

  • 以前より開発してきた機械学習アルゴリズムの迅速な実装
  • 開発環境から本番環境へのスムーズな移行
  • スケーラビリティの確保

が課題になると考え、それらの課題に応えることのできるクラウド基盤の整備を実施。

具体的には、リアルタイム異常検知プラットフォームをクラウド上でサービス提供するブレインズテクノロジーの「Impulse」を導入し、研究所で既に開発・保有していたアルゴリズムをImpulse上に展開しました。

その後、PoC(概念実証)にて良好な結果が得られたため、内燃機関用の予知保全の実現に向け、クラウド基盤を先行開発。実際の導入効果としては、機械学習アルゴリズムを導入することにより、「健康状態のリアルタイムな可視化」が可能になりました。また既に数十の内燃機関に対して試行を進めています。

> ヤンマー 中央研究所様の導入事例詳細はこちら

こうした事例のように、予知保全を目的としたAI活用は今後ますます増加するでしょう。

弊社ブレインズテクノロジー(Impulse)においても、上記以外にもいくつか導入事例がございます。ぜひ最新の導入事例をご確認いただければ幸いです。

異常検知ソリューション「Impulse」最新導入事例はこちら

予知保全のためのAIソリューション導入の方法・流れ

予知保全のためのAIソリューション導入の方法・流れ

ここまで、予知保全におけるAI活用事例をいくつかご紹介してきました。

ここからはさらに具体的な話として、予知保全を目的としたAI活用を進めるにあたり、どのような準備が必要となるのか、検討開始から運用開始までの流れについてお話しします。

※ここでは、Impulseの導入検討〜導入して運用するまでの一般的な流れをご紹介いたします。

1. 課題共有
2. 対象テーマの選定
3. データ準備
4. PoC(概念実証)
5. 評価システム構築
6. 本番システム構築
7. 運用開始

1. 課題共有

まずは、AI製品を提供する企業の営業担当者や技術担当者に、自社の課題を共有します。

AI製品の機能や特徴について知ることはもちろんですが、自社の課題を共有することで、
・どういった方法で予知保全するのか
・AI製品で解決できそうな課題かどうか
・解決したいテーマの方向性は間違っていないか
・他に役立てられそうなテーマの有無
と言ったことを固められる機会にもなります。

また、課題の内容によっては、すでにユースケースや導入事例がある場合もあります。是非、御社の課題を共有いただき、AI活用にお役立てください。(予知保全に関して今回ご紹介した以外にもいくつか事例がございます。)

異常検知ソリューション「Impulse」の詳細はこちら

2. 対象テーマの選定

課題共有の次は「テーマ選定」です。

先ほどの課題共有の段階では、AI製品が具体的にどのようなシーンにおいて活用できるのかを理解し、実際に自社に置き換えて導入を検討する段階でした。プロジェクトとしてAI導入を推進するために、課題の中からテーマを選定します。

最初からあれもこれもと欲張ってしまうと、結局何にも着手できずにプロジェクトが途中で頓挫してしまう可能性があるため、優先度の高いテーマからスモールスタートすることが重要です。

予知保全において、AI(人工知能)は多くのシーンで活用可能ですが、テーマの選定が実現可能性を高める上で重要であるという点についても理解しておきましょう。

データ準備

テーマ選定ができたら今度は、AI(人工知能)に学習してもらうためのデータを準備します。

すでに機械・設備に取り付けられた制御システムやセンサー等からデータの蓄積がされているケースもあれば、これからデータ取集が必要というケースもあるでしょう。いずれのケースにおいても、弊社の事例に基づいてアドバイスが可能です。

弊社が手がける「Impulse」では、
・時系列データ
・画像データ
・動画データ
・音声データ
・3Dデータ
など多種多様なデータ分析に対応しています。

また必要なデータ量については、解決したい課題によって異なります。(弊社では時系列なら1〜2ヶ月分、画像であれば100枚くらいのデータを目安としてトライするケースが一般的です。実際には、プロジェクト毎にでかなり差があります)

PoC(概念実証)

データの準備ができたらまずはテスト環境を用意し、AI製品が課題を解決できそうか検証を開始します。一般的にはこれを「PoC(Proof of Concept)」と呼びます。

用意したデータを基に「Impulse」で分析を行い、実現したい課題解決がお客様の環境で収集されるリアルなデータとAIで解決可能かの技術検証を行います。

評価システムの構築

先ほどのPoCにおいて無事に実現手段が見出せた場合に、今度は評価システムを構築し、実運用ベースで評価を行います。

具体的には、
・PoCで確認した課題を、実環境でも再現ができるかの確認
・実運用を見据え、実データでの評価(精度向上・定期的な改善の必要性)
・実運用を想定する中で、不足している機能の確認
・本番で運用するための非機能要件(パフォーマンス)の確認
・業務要件(通知システムの確立)
などの項目をこの段階で評価します。

本番システム構築

先ほどの評価システムによって、運用面・機能面での問題や改善が行われた後、最後に非機能要件(パフォーマンス・耐障害性)を加味した本番のシステム構築を行います。

また実運用に組み込む上で、下記のような各種連携機能・画面実装を行うケースもあります。
・既存の可視化システムにAIによる判定結果を連携して表示する
・汎用BI製品等を利用して可視化を行う
・AI製品の導入とセットで、新規にモニタリング画面を開発する
・製造現場のパトライト等に、判定結果を通知する

運用開始

本番システムの構築が完了したら、いよいよ実運用を開始します。

実環境で運用する中で精度が低下した場合に、モデルチューニング・精度検証を行い、より実環境で誤検知の少ないモデルへ改善を続けます。

データの特性によっては定期的に再度学習を行い、精度を担保するケースもあります。

さてこのように、予知保全を目的としたAI製品の活用は、今多くの企業が注目しているものの、検討される担当者様にとっては初めての導入というケースも多いかと存じます。

自社工場や設備などへの導入検討を行う際には、今回ご紹介した導入までのステップを参考にして頂ければ幸いです。

▼予知保全におけるAI製品導入の流れ
1. 課題共有
2. 対象テーマの選定
3. データ準備
4. PoC(技術検証)
5. 評価システム構築
6. 本番システム構築
7. 運用開始

繰り返しにはなりますが、弊社ブレインズテクノロジーでは「Impulse」を使った予知保全の導入実績・事例も多数ございます。

異常検知ソリューション「Impulse」最新導入事例はこちら

課題共有や対象テーマ選定のご相談からでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

異常検知ソリューション「Impulse」の詳細はこちら

予知保全を目的としたAI製品導入で気をつけたいポイント

予知保全を目的としたAI製品導入で気をつけたいポイント

最後に、予知保全を目的としたAI導入で気をつけたいポイントをいくつかご紹介したいと思います。
こちらも併せて検討時の参考にして頂ければ幸いです。

できるだけ課題を明確に

まずは解決したい課題を明確にすることが重要です。その上で、解決可能なAIモデルが構築できるかについて確認する必要があります。

異常検知のみできれば良いのか、要因推定までを行いたいのか等、解決したい課題のレベルや、モデル自体の精度に対する目標値も事前に設定しておけると良いでしょう。

また運用面においても、
・データ特性を踏まえた上で横展開が可能なモデルか
・個別に作成する必要があるか
・定期的な再学習が必要となるものか
など、時系列での経過を含めたモデル運用も意識しておきたいポイントです。

実運用を見据えた利用イメージができるか

解決手法だけでなく、機械学習と運用を組み合わせて、機械学習を取り入れたシステムの開発・運用を円滑に行い、迅速かつ安定したシステムを実現する事が必要です。

そのために、データの収集からモデルの構築、モデルのモニタリングまでを統合されたプラットフォームで行えるようにしましょう。Impulseを利用することで、少ない工数でモデルの開発・運用が行えるというメリットがあります。

例としては、下記の項目を検討します。
・データを継続してどのように収集し、分析するか
・データの前処理をどのように行うか
・モデルの訓練・評価・検証をどのように行うのか
・訓練済みモデルの提供とモデルのモニタリングをどのように行うか

これらの項目を自動化できるようにして、自動化レベルを上げていくことを考えます。その際には、以下の項目がシステムに求められます。これらの項目を実現できるツールを選定しましょう。

・機械学習のプログラムの管理、実験内容の管理
・モデルとデータセットのバージョン管理
・時系列データ・画像・音声・動画・3Dデータなどの可視化機能
・評価内容のレポート機能
・モデル構築からテスト、モデルの配置を自動実行するプロセスの構築
・モデルのモニタリング

コストメリットはあるか

3つ目はコストメリットがあるかどうかです。

導入に向けた整理を行う中で、抱えている課題を解決するコスト的なメリットと、実運用を行うコストを合算し、そもそもメリットのあるプロジェクトとなっているかを確認する必要があります。

注意点としては、導入製品のコストだけでなく見落としがちな運用に関わる人的コストです。これらを含めトータルコストを意識した上で、判断する必要があります。

まとめ

さて今回は、工場や設備における予知保全のAI活用事例と言ったテーマを中心にお話させて頂きました。

これまでは人間による経験や感覚を必要としてきた「予知保全」ですが、昨今のAI技術の進化により、コンピュータによる分析が可能となり、故障や異常につながる前段階での異常を検知することが可能となってきました。

多くの企業が注目する分野・技術ですが、、実運用に至れば大きな効果が期待できるだけでなく、AIによる予知保全が必要不可欠なものとして存在するようになるでしょう。

異常検知ソリューション「Impulse」を提供するブレインズテクノロジーでは、AIによる予知保全に関する導入実績や導入事例も多数ございます。

異常検知ソリューション「Impulse」最新導入事例はこちら

弊社では、単に製品を導入するだけではなく、プロジェクトを推進するお手伝いとして各種ご相談も可能です。AIによる予知保全にご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

異常検知ソリューション「Impulse」の詳細はこちら

Impulse
AIを活用した予知保全に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

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