AIを活用した異常検知とは?検知の手法&最新事例・活用シーンをご紹介

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AIを活用した異常検知とは?検知の手法&最新事例・活用シーンをご紹介

異常検知とは、製造・生産現場において、機械や設備などが停止や故障する前に何らかの異常を捉え、トラブルになる前にそれを未然に防ぐこと、または停止や故障した際にそれを検知することを言います。

従来このような分野は人の目視や判断によって行われていたり、何らかのセンサ等を用いて数値データを取得し、監視したりしていましたが、近年AI(機械学習)を活用した検知が注目を集めています。

そこで今回は、製造・生産現場における異常検知へのAI活用に焦点を当て、AI活用の事例やメリット等をご紹介します。

Impulse
AIを活用した予知保全に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

Impulse 公式サイトはこちら

異常検知とは

異常検知とは

異常検知とは、製造・生産現場において、機械や設備などが停止や故障する前に何らかの異常を捉え、トラブルになる前にそれを未然に防ぐこと、または停止や故障した際にそれを検知すること。

一般的には、温度や圧力、流量などを測定するセンサ等に閾値を設定し、それを超えると知らせる仕組みを取ったり、複合的な要因から異常を未然に知らせるために、機械や設備に詳しいベテラン作業員の勘や経験から判断したり、分析するなどのケースがあります。

AIを活用した異常検知は、製造生産設備の正常稼働時のデータを学習させることにより、従来の閾値ベースでは発見できない異常状態やこれまで発見できなかった未知の異常を捉える可能性を秘めています。

通常、AIを活用した異常検知では、時系列データや静止画、動画、音響など様々なデータを収集し、それらを複合的かつ高速に分析します。

時系列データを用いた異常検知

時系列データを用いた異常検知はその名の通り、時間変化する数値に対して分析を行います。温度・圧力・流量・速度・振動など(機械や設備によって必要なデータは異なる)のデータを時系列に取得し、その時系列の変化を用いて異常を検知するのです。

例えば、パイプ内の流量が時間と共に減少するものとします。このとき、流量が通常よりも早いペースで減少したり、逆に流量の減少量がいつもより少ないのが異常状態です。

このような異常を検知するためには、流量と時間が合わさった正常時の時系列データを使用し、それと現在のデータを比較します。操作からの経過時間と流量の減少量を正常な状態と比較し、異常かそうでないかを判断します。(AIはさらに温度や圧力…etcなど複数のデータを同時に分析。相関性を見い出し、そこから判断します)

このような異常検知技術は、製造・生産現場において、機械や設備の停止や故障を発見するためだけでなく、停止や故障する前の兆候を捉えて保全や修理を行う、いわゆる予知保全や設備診断などの分野にも活かされています。

時系列データの取得は、機械や設備に搭載されたPLCやSCADA、あるいは外付けのセンサを後付けし取得することも可能です。

特に予知保全や故障予兆検知などの分野においては、振動や音などのデータが使われるケースも多く、そのような場合にはマイクをセンサとして使用する場合もあります。

静止画・動画データを用いる例も

製品外観や外装・パッケージなどに付着した傷や異物などの不良を検出することも、異常検知の一種とも言えます。外観検査では通常、静止画や動画のデータを使用し、不良を検出します。

例えば、切削加工品におけるバリの検査では、目視検査により異常なバリを検出するケースも多いです。しかし近年では、カメラを使って撮影した静止画データからAIがバリの有無やバリの大きさなどを判断できるようになりました。

また静止画や動画データによる異常検知は、応用範囲が広く、機械や設備の故障につながりそうな兆候を発見できるのも特徴です。例えば、機械からの油の染み出しの範囲の大きさを静止画から検知し、故障の予兆を知らせたりするケースもあります。

AIを活用した異常検知の活用事例

AIを活用した異常検知の活用事例

AIを活用した異常検知は、すでに様々な現場で活用されています。ここでは弊社が開発・提供する異常検知ソリューション「Impulse」による事例をご紹介します。

大阪ガス株式会社:予知保全プラットフォームにAIを活用

関西を中心に700万世帯を超えるお客様の快適な暮らしとビジネスの発展に貢献されている大阪ガス株式会社。

同社にあるデータ分析の専門部署「ビジネスアナリシスセンター」が、データ分析業務の高度化・効率化を指向し、データ分析基盤の整備に着手。

先進的な取り組み、高い分析力で知られる同社が、「ビジネスを変えるデータ分析」を支える予知保全プラットフォームとして、AIを活用しています。

大阪ガス様のAI活用事例詳細はこちら

ヤンマー株式会社:内燃機関の予知保全にAIを活用

内燃機関、農機、建機、小型船舶などの製造・販売を行うヤンマー株式会社において、グループの研究開発のコアセンターとなる「中央研究所」では、内燃機関の予防保全に向け、多種多様なセンサーデータ、機械学習を活用した先進的なクラウド基盤の構築に着手。

製品の信頼性・耐久性の高さに定評のある同社が、更なる研究開発、サービス向上を目指し、AI異常検知プラットフォームとして「Impulse」を導入しています。

ヤンマー株式会社様のAI活用事例詳細はこちら

ナブテスコ株式会社:風力発電機の状態監視にAIを活用

モノを”動かす・止める”モーションコントロール技術を強みに、幅広い産業の発展に貢献するナブテスコ株式会社は、風力発電機の保守を目的に、風力発電機ヨー旋回部の故障回避・状態監視機器「CMFS」を開発。

同製品のデータ分析にAI異常検知ソリューション「Impulse」を採用し、風力発電機の故障回避や延命化に貢献しています。

ナブテスコ様のAI活用事例詳細はこちら

株式会社オプテージ:通信障害(サイレント障害)の監視基盤としてAIを活用

企業から個人まで高付加価値な情報通信サービスを提供し、関西を中心とした通信インフラを支えている株式会社オプテージ(旧:株式会社ケイ・オプティコム)。

ネットワークの品質維持や向上のため、従来より様々な取り組みをおこなってきた監視制御システムチームが、更なるサービス品質向上のため機械学習を活用した異常検知への取り組みに着手。

従来の閾値監視では発見が困難であった通信障害「サイレント障害」の解決に、高い検知精度を備えた監視基盤としてAIを活用しています。

オプテージ様のAI活用事例詳細はこちら

AIによる異常検知を導入する主な目的

AIによる異常検知を導入する主な目的

AIというと何となく「便利なもの」というイメージを抱く人は多いでしょう。では実際に、異常検知にAIを活用することで、どのような効果が見込まれるのでしょうか。

ここでは代表的な導入効果をご紹介します。

省人化・労働力不足の解消

少子高齢化の時代が進み、団塊ジュニア世代の大量退職を迎え、労働人口の減少が大きな問題となっています。事実、経済産業省の2017年12月の調査によると製造業の94%以上の企業で人手不足が顕在化していると回答。労働者の奪い合いが発生し始めています。

少しでもその労働力を補うために、従来は人の手で行っていた機械や設備の監視や製品の目視検査などの作業を、AIを用いた異常検知によって代用するなどの対策が求められています。

監視・検査の高度化

人による監視や分析では、時として間違いやミスもあるでしょう。いくらベテラン監視員だとしても体調や集中力にムラが生じるため、停止や故障を100%未然に防ぐといったことは難しいでしょう。

また大量データの分析は、AIによる機械学習が得意とする分野です。様々なデータの相関性を高速に計算し結果を弾き出すため、ベテラン監視員が持つ勘や経験での判断だけでなく、これまで見つけられなかった未知の異常も発見できる可能性を秘めています。

作業員の負荷軽減

人による異常を検知を行う場合、機械や設備の状態に対して気を遣いながら業務を行わなければなりません。また人によって異常の判断も異なるため、作業員同士の共有や技術伝承も行う必要があります。

こうした異常判定をある程度AIによって自動化ができれば、作業員の負荷軽減が期待できます。それにより、本来業務に集中できることで業務が効率化され、品質向上や品質改善に期待が持てるようになります。

そのほか工場や設備の稼働時間を増やしたり、作業の高速化が可能となり、全体を通じた生産性の向上にも繋がる可能性があります。

AI異常検知を現場に導入するまでの流れ

AI異常検知を現場に導入するまでの流れ

製造・生産現場における異常検知を目的に、AIを導入するまでの流れについては下記記事で詳しくご紹介しております。ご関心ございましたら、ご覧いただけますと幸いです。

AIによる異常検知を現場に導入するまでの流れ
※予知保全をテーマとした流れが記載されておりますが、ほかテーマにおいても基本的には共通しております。

AI導入の際に活用できる補助金制度の例

AI導入の際に活用できる補助金制度の例

AIを導入する際には、各種センサーの取り付けやデータ収集、分析を行うためのシステム導入に予算が必要となります。特に中小企業などの場合は、なかなか予算が組めないというケースも多いでしょう。

こうした場合に利用できる可能性があるものとして、補助金制度があります。機械装置の購入やシステム導入に対する補助金にも活用できる他、制度によっては、AIなどの先端技術を活用した機器を導入する場合は採択率が向上するものもあります。

実施する自治体などによって様々な条件がありますが、この機会に補助金の活用を検討してみるのもいいでしょう。

AI導入に利用できる補助金制度は、以下のようなものがあります。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金
・商業・サービス競争力強化連携支援事業 (新連携支援事業)

(参考)AI導入の際に活用できる補助金制度の例

最終ページに記載されております。詳細や申請方法については、各制度のホームページをご確認ください。

まとめ

さて今回は、製造・生産現場における機械や設備の停止・故障を未然に防ぐために活用されている、AIによる異常検知についてご紹介しました。

今後も労働力不足が課題となる製造・生産現場において、日々稼働する機械や設備を少ないリソースの中で安定的に動かしていくために、デジタルやIoTの力の活用が今や盛んに行われています。

ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、現場の様々な異常検知にAIの活用を検討して頂ければ幸いです。

異常検知ソリューション「Impulse」の詳細はこちら

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2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

Impulse 公式サイトはこちら

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