大企業病治療へのアプローチ(アーカイブ動画)
Neuron ES User Conference 2026
キオクシア株式会社 登壇セッション アーカイブ動画
※本アーカイブ動画は、2026年2月6日(金)に行われた「Neuron ES ユーザーカンファレンス 2026」での講演内容です。本ページ右にある「動画視聴申込みフォーム」よりお申込みください。
現代の企業が直面する最大の課題の一つが「大企業病」です。この病は、情報のサイロ化や非効率なコミュニケーションによって、生産性を低下させる要因となり、企業の成長を妨げます。このような背景の中、私たちはNeuron ESというエンタープライズサーチツールを導入し、社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しながら、大企業病の克服に挑んでいます。
本講演では、Neuron ESの導入を2つの側面で考察します。第一に、情報探索にかかる時間を削減することで、業務効率を向上させるDXの側面について具体的な成果を示します。第二に、ただのツール導入にとどまらず、社内全体にNeuron ESを浸透させるために実施した施策や成功事例を中心にお話しします。特に、どのようにして社員全員が積極的にNeuron ESを活用できる環境を整えたのか、その具体的な戦略や取り組みを共有し、深掘りいたします。これにより、企業全体のDX推進、大企業病治療のヒントになれば幸いです。
| 講演タイトル | 大企業病治療へのアプローチ |
|---|---|
| 登壇者 |
キオクシア株式会社 IT推進部 IT戦略担当 参事 岸本 真迪 様 |
| 申込方法 |
本ページ右にある「動画視聴申込みフォーム」よりお申込みください。 ※同業他社様、個人の方の視聴はお断りさせていただきます |
【講演要約】キオクシアが挑む「大企業病」治療。全社DXの鍵を握る社内検索エンジン導入の軌跡
日本を代表する半導体メーカーがいかにして社内の「情報共有の壁」を打ち破り、DXを推進しているのか、そのリアルな軌跡に迫ります。
DX推進の背景と見えてきた「情報の検索効率化」のインパクト
キオクシア(旧・東芝メモリ)では、1990年代から製造現場の自動化(CIM)を進めてきた歴史があり、現在では工場だけでなく全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。 その推進にあたり、約1500人の社員を対象に業務分析を実施したところ、驚くべき事実が判明しました。業務時間の多くが「資料作成」や「会議」に費やされており、そのうちの約30%が「情報共有(情報を探す・人に聞く時間)」に消えていたのです。 この「情報の検索効率化」こそが、全社的な業務効率化の大きなインパクトになると考えました。
「大企業病」の正体は、意思疎通不足による信頼の不足
組織が巨大化するにつれ、「意思決定の長期化」や「部門間の断絶」といったいわゆる「大企業病」の症状が現れます。岸本氏はこの原因を、経営層と従業員、あるいは部門間の「意思疎通不足」にあると分析しました。
バックグラウンドが異なる社員同士では、言葉の定義や認識がズレており、ちょっとした情報を探すのにも「誰に・どうやって聞けばいいのかわからない」という状況が発生します。これを解決するためには、「判断材料(情報)の迅速な提供」と「多くの情報を知ることができる環境」が必要不可欠でした。
社内の「広く浅く探す」窓口として『Neuron ES』を導入
人が行動を起こす際、まずは情報を「広く浅く」探し、そこから「深く狭く」詳細を調べるというプロセスを踏みます。しかし、当時の社内には「広く浅く探す」ためのツールがなく、結局「知っていそうな人に聞く」という属人的なアナログ手法に頼らざるを得ませんでした。
そこで、社内に散在するファイルやWebサイト、各種アプリの情報を横断的に検索できるエンタープライズサーチ(社内検索エンジン)『Neuron』を導入。これを「社内情報のGoogle」のような位置づけとし、社員が自力で情報にたどり着ける「ナレッジインフラ」の構築を目指しました。
導入の壁と、乗り越えるための工夫
しかし、導入は一筋縄ではいきませんでした。講演では、リアルな学びの体験とそれを乗り越えた工夫が語られました。
学び①:セキュリティと「Need to Know」の壁
機密情報が多い半導体業界特有の「知る必要がある人にしか情報を開示しない(Need to Know)」という原則が壁となり、全部門の情報を横断検索する許可がなかなか下りませんでした。
【工夫】 情報セキュリティ部門と粘り強く交渉し、「すでにアクセス権限が付与されている情報のみを検索可能にする」という当たり前のセキュリティ設定を徹底して説明することで、徐々に検索対象を広げていきました。
学び②:導入しても「使われない」壁
システムを導入し社内アナウンスをしても、利用部門は一向に増えませんでした。社員は「わからないことは人に聞く」という従来の行動から抜け出せなかったのです。
【工夫】 社内の各ポータルサイトの検索窓をNeuronに差し替えたり、よく使うサイト(勤怠や社内ルールなど)を検索結果の上部に表示(お知らせ機能)させたりと、自然と検索する導線を作りました。
【工夫】 さらに、各部門の「DX推進委員」を巻き込み、組織の枠組みの中でツールの利便性を啓蒙していく泥臭い社内マーケティングを実施しました。 結果として、現在では1日あたり1000〜1500回利用され、「1回の検索で30分〜2時間の時短になった」という声も上がるなど、確かな効果を実感しているとのことです。
生成AIとの使い分けと、その先へ
昨今話題の「生成AI」と「エンタープライズサーチ(Neuron)」は、社内でどう棲み分けるべきでしょうか。岸本氏は、「正しい情報を得る(正確性重視)」ならエンタープライズサーチ、「情報を整理・要約・生成する(思考のサポート)」なら生成AIと明確に定義しています。
生成AIにはハルシネーション(もっともらしいウソ)のリスクがあるため、社内規程や過去のトラブル事例など「正確な事実」を探す業務においては、引き続きエンタープライズサーチが重要になると語りました。 今後は、社内のあらゆる情報(組織、技術、人材など)を検索の網の目に入れ、さらなる業務フローの自動化や人材の最適配置など、高度なDXの実現を見据えています。
執筆担当:ブレインズテクノロジー株式会社 黒田、柳澤
